2024 会場:渋谷ヒカリエ(和紙 / 墨 / LED)
microscope作品は我々の視点を自由に拡大・縮小させる試みの作品です。通常目では捉えられない事象を抽出し、秘められたものを暴きたいという欲望です。極小を見るのはもちろんのこと、宇宙全体を俯瞰するという視点でのmicroを採用しています。LEDによる発光で通常では見えない後ろのレイヤーを暴きます。
【microscope -忘却と継承-】もし言葉を顕微鏡で見ることができたら、そこには形ではなく、言葉が孕む「含み」が映し出されるかもしれません。本作品は、「文化」「君が代」、そして「記憶」という三つの要素が重なり合い、複雑な層を成しています。「文化」は、過去の経験や知識、価値観が積み重なって形成される、いわば社会の集合的な記憶です。「君が代」は、日本の文化を象徴する歌として、長い歴史の中で様々な意味を重ねてきました。そして「記憶」は、個人が経験し、心に刻み込んだ、かけがえのないものです。1枚目のレイヤーに「文化」と記し、2枚目のレイヤーに「君が代」を鎖のように表現することで、これらの要素が私の記憶や人格の根底を支えていることを視覚化しました。しかし、文字は滲み、消えかけており、その形を保っていません。これは、私の内面が揺らいでいることを示唆すると同時に、現代の日本社会において「文化」という概念が失われつつあることを象徴しています。
【microscope -私の闘い-】顕微鏡というツールは、通常、目に見えない微細な世界を可視化します。本作品「microscope-私の闘い-」は、この顕微鏡の概念を拡張し、社会的な仮面の下に隠された、個人の「隠された本音」を覗き見ることを目指しています。消えかかる文字で書かれた言葉の痕跡は、昇華への願いと、過去の闘いが私を強くした証です。長らく私を悩ませてきた女性としてのアイデンティティ、キャリアを築く中で感じた葛藤、そして社会の女性観への違和感。これらの感情を、私は本作品の中に昇華させました。LEDの光が照らし出す「隠された本音」は、「嘘」の仮面の下に隠された、脆くも切実な心の叫びです。「大丈夫じゃないよ」「頑張らないと」「見てほしい」「触らないで」——これらの言葉は、現代を生きる多くの女性たちが抱える、複雑で矛盾に満ちた感情の表れです。
