
2025.01(和紙 / ボンド墨 / 350×680mm)
「私」という文字で構成された宇宙の渦巻に、別の「私」が衝突する様相を描き、自己と他者の遭遇、そしてそこから生じる変容を表現しています。東洋書道の精神性と西洋科学、自己と他者、自己変容といった普遍的なテーマを探求しています。
無数の「私」が織りなす渦巻は、個としての自我、あるいは揺れ動く感情や思考の集積を象徴しています。それは、西洋物理化学における原子や分子の運動のように、絶え間なく変化し、相互作用を繰り返す動的な存在です。同時に、東洋の精神世界における「気」の流れや、宇宙のエネルギー循環を想起させます。
一方、渦巻を取り囲む余白は、西洋物理化学における真空、あるいは宇宙空間を連想させます。それは、何も存在しない空虚な空間ではなく、無限の可能性を秘めた場であり、東洋の思想における「無」の概念にも通じるものがあります。
そこに、外部から別の「私」が衝突することで、静寂は破られ、渦巻は大きく変容します。この衝突は、化学反応、あるいは素粒子の衝突のように、エネルギーの変換と新たな物質生成を伴うダイナミックなプロセスを象徴しています。同時に、東洋の精神世界における、悟りや覚醒といった、自己変容の瞬間を表現しているとも解釈できます。
本作品は、西洋物理化学の客観的な視点と東洋精神世界の主観的な視点を融合させ、書と現代アートの表現を通して、自己と他者、そして自己変容という普遍的なテーマを新たな次元へと昇華させた作品です。
