2020(和紙 / ボンド墨 / H60×W180cm)
我々のいる現代社会においては「キャッチーで明るい言語」しか話してはいけないような強迫観念が存在する。表面的に取り繕うような「カワイイ」という概念と言葉たち。そうしたものでごまかしを図る若者たちの他愛ない会話、私はそんなものを書いている。「見えているのに、見えていないフリ」をするうち、我々は大切な何かを見落としてはいないだろうか?
古来、日本を代表するものとして富士山が存在するが、これはまるで溶けていくソフトクリームのようなものだと私は見立てた。急降下していく日本人と日本文化、その両者が溶けていく様を表しているものだと捉えたのだ。気がつかぬうちに溶け出していて、床に溶け落ちた時にはもう遅い。溶けたソフトクリームは「It is no use crying over spilt milk.(覆水盆に返らず)」と「スクリーム(叫び)」を兼ねている。
急降下を表すベクトルとして、私は「逆さ富士の形」を構成要素として選んだ。マグマのようにも見えるそれはやがて、爆発音を立てて噴火するかも知れない富士山の、憤怒の叫び声でもあるのだ。
