2020(和紙 / ボンド墨 / 約34.8×65cm) 2021/1.28-2/13 FEI ART MUSEUM
想いが言葉にならず、絡み合って、異形をなしていく。糸のように絡んで解けない。絡新婦のように私は盲目に巣を張り巡らす。言葉を発する前に私の中に幾千もの言葉のなりそこないが生まれる。それはあたかも命になりそこなった精子のようだ。口から射精できなかった想いは私の中で絡みあい異形をなす。そうやって1人で懐妊した想いを産まずに私の中で育てあげる。
蜘蛛の巣に見立てたシナプスを書いた。脳の神経情報を伝達するための接触構造であるシナプス。神経接触というコミュニケーションは人体の中で滞りなく行われているようだ。しかし人と人との接触構造を司る言語はどうだろうか。人とコミュニケーションをとるために発達した言語は伝えたい想いを伝えるためにあるはずなのに、現代社会においては建前が口からあふれている。本当の気持ちは言葉にならず頭の中で渋滞している。
建前ばかり吐いたツケは自分の中で異形になっていくのだろうか。受け取り手のいない接触構造もお互いに作用しない接触構造も神経ならば壊死していく。人間の関係性というものが壊死していくのを止めるには偽りのないコミュニケーションが必要ではないだろうか。
